匙を投げたいけど

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面倒くさがりで面倒なオタクが、脳トレがてら考えたことを書いています。

シンクスライドラックをめぐる愛憎

シンクスライドラックが憎い。「ニクいね、この!」とかいうポジティブな意味ではない。



ちなみにこの記事を書こうと思うまで名称を知らなかったが、台所の流しの上に乗せる、伸縮式の簡易棚である。食器などをちょい置きして料理の作業スペースを広げたり、洗い終わったものを乾燥させたり、という用途があるようだ。これを夫が食器片付けをしたあと必ずといっていいほど使うので、閉口している。



私はシンクスライドラックを使いたくないので、洗い桶に食器がたまったら拭いて片づけてから、また続きを洗う。しかし夫は、自然乾燥信仰が激しいのか、単に拭いて片づけるのが面倒なのかわからないが、隙あらばシンクスライドラックを置いて乾燥させる。これがあると流しが塞がって、まず片づけてからでないと次の作業をしづらいので、私はため息が出る。ひそかにきらいな家具(道具)だ。



また、これがあるとちょっとした行為の難易度がいきなり上がる。たとえば台所で水を飲みたいとき、手を洗いたいとき。軽率に蛇口をひねれば、乾燥した食器に水滴が飛び散る。ちょっとした行為なのに、慎重を期す必要が生じる。私はその不便さが耐えられないので、シンクスライドラックを見つけるとすぐに駆除してしまう。



たぶん夫は「次の作業前に片づければいいだろう」といった考え方なんだと思う。時間が乾かしてくれれば、「拭く」という作業が省けるわけだし。いっぽう私は思いついたときにすぐ作業に入りたいので、できるだけ片づけまで済ませてしまいたい。良し悪しではないと思う。ただ価値観が違うというか相性が悪いな、と思う。



職場で、シュレッダーのごみがパンパンになるまで待つ人と、ある程度たまったら次の人のために片づけようと思う人が相性が悪いのと同じだろう。袋のコストを重視する人は前者を是とするだろうし、コスト度外視で作業のスムーズさや思いやりを重視する人だったら後者を好ましく感じるだろう。そして、後者のほうが多めにイライラするのも同じだと思う。シュレッダーのごみがパンパンになるまで待つ人は、こまめに片づける人よりも袋を交換する回数が少ないからである。職場で統一した方針を決めるか、いっそ一切の紙資料を廃止するかくらいしか解決法はない。



シンクスライドラックについては、家庭内で統一した方針を決めようにも、うまくいかない。夫は好きで便利に使っていて、不便を感じているのは私だけなのだから、私が我慢するしかない。これが原因で離婚などはしたくないので、仕方がない。あとは根本的に一切の食器や鍋を使わない生活をするしかないが、それも無理だ。



そんなわけで私は今日も顔をしかめ、シンクスライドラックを片づけるのである。