匙を投げたいけど

匙を投げたいけど

面倒くさがりで面倒なオタクが、脳トレがてら考えたことを書いています。

精神力を節約するための精神力がない

時節柄、職場のトイレのハンドドライヤーが使用中止となった。エアータオルとも呼ばれる、洗って濡れた手を乾かす機械だ。ハンドドライヤーは便利だ。ハンカチを忘れたときも、手が濡れたまま歩かずに済む。ハンカチをあまり濡らしたくないときも重宝する。



けれどこの使用中止を、私はおおむね歓迎している。残念ながら、疫学的に意識が高いゆえではないのだが。



私がトイレでハンドドライヤーを使うとき、誰かと居合わせると気まずくならないようにしてしまう。相手より先に使わないようにして、なおかつ最初から自分の持参したハンカチを使うつもりでしたよ、みたいに装う。相手が乾燥機を使っていても「先に使ってしまった」とか「あの人も使いたかっただろうに自分が占拠してしまった」とか気を遣わせないために、そこまでしてしまう。



うっかりお見合いになってしまったときの気まずさに耐えられないのである。自分が先に使わせてもらったときは申し訳なくていたたまれなくて結局早く切り上げてしまうし、待っているのも圧力をかけているような気がして気が引ける。酔っぱらっているときや精神的な調子が良いときは、そこまで気にしなくて済むのだが、つねに酔っぱらっているわけにも、調子が良いわけにもいかない。



ただ始末に負えないのが、そこまで他人に気を遣わせないためにやっておいて、それが続くと自分ばかり犠牲になっている気がしていやになってしまうことだ。しかも相手が同一人物でないのに、だ。人の顔をおぼえるのが苦手なので、同一人物か違う人物かを認識できていないのだが、たぶん同一人物ではないと思う。



とくに精神的な調子が悪いときは、こういったことで疲れ果ててしまう。そのため、最初からハンドドライヤーが使用中止になっていたほうが余計なことを考えずに済んで、ありがたい。



精神的な調子が悪いな、と自覚する瞬間がある。進行方向に行くとき、すれ違う人とうまくよけられなくなることが多いときだ。そもそも下手ではあるけれど、よけそこねることが何度も続くと、それはたいてい調子が悪い周期≒生理前である。



私は進行方向に行くとき、逆から来る人をよけるときは必ず、自分の行きたい方向から遠回りをしてしまう。たとえば曲がり角を右折したいときに向かいから来る人を避けるとき、右によければそのまま右折できるのに、私はわざわざ人を左に避けて大回りをして右折してしまう。つねに自分が損するほうを選択するようなクセがついてしまっている。



ちなみに、あとから自分が素直に右によければ相手も距離のロスをしなくて済んだ(相手が右折したかった=私から見て左に進みたかった)、というシチュエーションに気づくとむなしくなる。それでもクセがついてしまっているので、なかなかやめられないのだけれど。



上記の二例は、精神的な調子が悪い時期だから仕方ないのかもしれない。が、普段からも何かにつけ、こういった余計なことで体力と精神力を浪費している気がするのだ。おそらく根本的になんとかする必要があるけれど、そのためにとあるカウンセリングに目をつけているけれど、実現は今すぐには難しい。



ので、今後はトイレに行くときには毎回ハンカチを持っていこうと思っている。進行方向の件はまだハードルが高い。今できるささやかな体力精神力節約法だ。



とはいえ、毎回使っているとハンカチが濡れていく一方なのである。最初から濡れたハンカチはテンションが下がる。そのハンカチに耐える精神力は、どこから持ってくれば良いだろうか。